I. 設立の背景 飽食の時代といわれる今日、日本の未治療の患者を含めた高血圧患者は3,000万人、糖尿病患者は1,080万人、そして脂質異常患者は2,200万人いるといわれています。これら生活習慣病の重要性は、いずれも動脈硬化の原因となり結果的に動脈硬化性血管疾患(虚血性心疾患、虚血性脳血管疾患、閉塞性動脈疾患)を発症させる点にあります。高血圧、糖尿病、脂質異常症、そして肥満の組み合わせが「死の四重奏」と呼ばれている所以です。事実、これらのリスクを三つ以上もつ患者はもたない患者に比し、虚血性心疾患の発症が30倍以上と高率です。日本人の4人に1人は心臓病と脳血管障害で亡くなっており、射水市でも65歳以上の患者に循環器系疾患(心疾患、脳梗塞、高血圧)が占める割合は最も多く、全体の34%に相当します。 近年、循環器領域における医学の急激な進歩により、心血管系の局所的な形態的・機能的障害に対しては強力な特異的治療法が確立されてきました。例えば、弁膜症に対する弁置換術、洞不全症候群や伝導障害に対するペースメーカ治療、冠動脈病変に対するカテーテル治療やバイパス術、致死的不整脈に対する埋め込み型除細動器などです。その結果、急性期疾患や危機を乗り切った循環器疾患患者が増加しており、長期的には高齢化と重なって二次的合併症や慢性心不全の発症につながっています。腎臓・肺・脳・運動筋などの加齢性の機能障害は、循環器疾患との相互作用により加速され多臓器疾患へと進行します。高齢化と循環器疾患の慢性化にともなう多臓器・多系統の複雑な循環病態に対応するためには、循環器専門医が中心となって、腎臓内科、糖尿病代謝内科、血液内科、心臓血管外科、脳神経外科、専門看護師、薬剤師、栄養管理士、心血管リハビリ指導士、臨床工学技士など、各専門職を系統的に組織した患者支援チームを編成し、統合的かつ戦略的に患者の長期ケアができる体制を整える必要があります。 II. 設立の目的 このような状況に対して当院は、循環器疾患の予防、診断、治療、回復期支援、長期的治療管理及び生活習慣病対策を行うために、多職種専門職員の力を結集できる心臓血管センターを開設しました。現在心臓血管センターでは、急性期の重症循環器疾患に対する高度治療から、急性期治療後(及び心臓手術後)の回復期から社会復帰までの治療・ケア・リハビリテーション(心大血管リハ)を行っています。また循環器科だけでなく脳神経外科や腎臓内科と協力して、頸動脈狭窄や腎動脈及び四肢の末梢動脈の動脈硬化性病変に対する血管インターベンション治療も行っています。心臓血管外科の対象となる疾患に対しては、心臓外科専門医による心臓血管外科外来を開設し、富山大学第一外科と綿密な診療連携ができる体制を敷きました。心臓移植待機患者や入退院を繰りかえす重症慢性心疾患患者に対する長期的治療管理には、系統的多職種患者支援チーム(SYMPAT)を編成し、先進的ICTシステムによる在宅管理が行える体制を整えました。さらに、心臓血管疾患の一次・二次予防のために多職種患者支援チームが中心になって、循環器疾患患者のライフスタイルへの行動介入や、心血管疾患の早期発見と心臓病予防への市民への啓蒙活動も推進しています。 III. 行動計画と体制 1.急性期重症心疾患患者に対する高度かつ先進的医療 【体制・設備】高度治療室、高性能心臓CT装置と連動した心血管治療室、循環補助機器(IABP,PCPS)、心臓血管外科外来、脳神経外科常勤体制 2.急性期治療・心臓手術後回復期の心臓リハビリテーションと長期治療管理 【体制・設備】心大血管疾患リハビリテーション(I)認定施設、心臓リハビリテーション指導士の増員、心臓血管外科外来 3.入退院を繰り返す重症心不全患者と心臓移植待機患者に対する在宅・入院管理 【体制・設備】系統的多職種患者支援チーム(SYMPAT)の編成 IMIZUNO-HOMEシステムによる先進的遠隔医療 社会復帰後の心疾患患者に対する二次予防のための長期的行動介入 【体制】心臓病教室の定期開催 4.循環器疾患の早期発見 【体制】心血管ドック計画 5.循環器疾患の一次予防への啓蒙活動 【体制】出前講座、FM射水やケーブルTVでの心臓病教室(計画)等 IABP: Intra-Aortic Balloon Pump (大動脈内バルーンポンプ) PCPS: Percutaneous Cardio-Pulmonary Support(経皮的心肺補助装置) SYMPAT: SYstematic Multidisciplinary Patient-Assist Team(系統的多職種患者支援チーム) IMIZUNO-HOME: Innovative MonitorIng Zone Under Network Observation for HOome MEdicine(在宅用いみず野システム)
飽食の時代といわれる今日、日本の未治療の患者を含めた高血圧患者は3,000万人、糖尿病患者は1,080万人、そして脂質異常患者は2,200万人いるといわれています。これら生活習慣病の重要性は、いずれも動脈硬化の原因となり結果的に動脈硬化性血管疾患(虚血性心疾患、虚血性脳血管疾患、閉塞性動脈疾患)を発症させる点にあります。高血圧、糖尿病、脂質異常症、そして肥満の組み合わせが「死の四重奏」と呼ばれている所以です。事実、これらのリスクを三つ以上もつ患者はもたない患者に比し、虚血性心疾患の発症が30倍以上と高率です。日本人の4人に1人は心臓病と脳血管障害で亡くなっており、射水市でも65歳以上の患者に循環器系疾患(心疾患、脳梗塞、高血圧)が占める割合は最も多く、全体の34%に相当します。
近年、循環器領域における医学の急激な進歩により、心血管系の局所的な形態的・機能的障害に対しては強力な特異的治療法が確立されてきました。例えば、弁膜症に対する弁置換術、洞不全症候群や伝導障害に対するペースメーカ治療、冠動脈病変に対するカテーテル治療やバイパス術、致死的不整脈に対する埋め込み型除細動器などです。その結果、急性期疾患や危機を乗り切った循環器疾患患者が増加しており、長期的には高齢化と重なって二次的合併症や慢性心不全の発症につながっています。腎臓・肺・脳・運動筋などの加齢性の機能障害は、循環器疾患との相互作用により加速され多臓器疾患へと進行します。高齢化と循環器疾患の慢性化にともなう多臓器・多系統の複雑な循環病態に対応するためには、循環器専門医が中心となって、腎臓内科、糖尿病代謝内科、血液内科、心臓血管外科、脳神経外科、専門看護師、薬剤師、栄養管理士、心血管リハビリ指導士、臨床工学技士など、各専門職を系統的に組織した患者支援チームを編成し、統合的かつ戦略的に患者の長期ケアができる体制を整える必要があります。
このような状況に対して当院は、循環器疾患の予防、診断、治療、回復期支援、長期的治療管理及び生活習慣病対策を行うために、多職種専門職員の力を結集できる心臓血管センターを開設しました。現在心臓血管センターでは、急性期の重症循環器疾患に対する高度治療から、急性期治療後(及び心臓手術後)の回復期から社会復帰までの治療・ケア・リハビリテーション(心大血管リハ)を行っています。また循環器科だけでなく脳神経外科や腎臓内科と協力して、頸動脈狭窄や腎動脈及び四肢の末梢動脈の動脈硬化性病変に対する血管インターベンション治療も行っています。心臓血管外科の対象となる疾患に対しては、心臓外科専門医による心臓血管外科外来を開設し、富山大学第一外科と綿密な診療連携ができる体制を敷きました。心臓移植待機患者や入退院を繰りかえす重症慢性心疾患患者に対する長期的治療管理には、系統的多職種患者支援チーム(SYMPAT)を編成し、先進的ICTシステムによる在宅管理が行える体制を整えました。さらに、心臓血管疾患の一次・二次予防のために多職種患者支援チームが中心になって、循環器疾患患者のライフスタイルへの行動介入や、心血管疾患の早期発見と心臓病予防への市民への啓蒙活動も推進しています。
1.急性期重症心疾患患者に対する高度かつ先進的医療 【体制・設備】高度治療室、高性能心臓CT装置と連動した心血管治療室、循環補助機器(IABP,PCPS)、心臓血管外科外来、脳神経外科常勤体制
2.急性期治療・心臓手術後回復期の心臓リハビリテーションと長期治療管理 【体制・設備】心大血管疾患リハビリテーション(I)認定施設、心臓リハビリテーション指導士の増員、心臓血管外科外来
3.入退院を繰り返す重症心不全患者と心臓移植待機患者に対する在宅・入院管理 【体制・設備】系統的多職種患者支援チーム(SYMPAT)の編成 IMIZUNO-HOMEシステムによる先進的遠隔医療 社会復帰後の心疾患患者に対する二次予防のための長期的行動介入 【体制】心臓病教室の定期開催
4.循環器疾患の早期発見 【体制】心血管ドック計画
5.循環器疾患の一次予防への啓蒙活動 【体制】出前講座、FM射水やケーブルTVでの心臓病教室(計画)等
IABP: Intra-Aortic Balloon Pump (大動脈内バルーンポンプ) PCPS: Percutaneous Cardio-Pulmonary Support(経皮的心肺補助装置) SYMPAT: SYstematic Multidisciplinary Patient-Assist Team(系統的多職種患者支援チーム) IMIZUNO-HOME: Innovative MonitorIng Zone Under Network Observation for HOome MEdicine(在宅用いみず野システム)
お問い合わせ
射水市民病院 3階病棟
電話番号:0766-82-8100
月曜日から金曜日 土曜日・日曜日・祝日は休診
午前 8時15分から11時30分 午後 12時45分から16時00分
※診療科により異なりますので、こちらをクリックし、お確かめください。