射水市民病院
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病院長ごあいさつ

2021年8月26日更新

長引くウィズコロナ時代に想うこと

inchhou
院長 島多 勝夫

 市民の皆さんには新型コロナウイルスとの戦いも早1年半を過ぎ去ろうとしていますが、如何お過ごしでしょうか。「ニューノーマル」という新たな日常を余儀なくされ、1年以上にも及ぶ三密回避とマスク着用・手洗いを基本とした感染対策の徹底を励行する日々が続いており、心理的にも肉体的にも疲労が蓄積していることと推察致します。今年2月より待望の新型コロナ感染症(以下、COVID-19と呼ぶ)に対するワクチン接種が全国で開始され、昨年とは違いCOVID-19に対する大きな武器をもつことが可能となりました。令和3年4月で院長就任5年目に入りましたが、今年6月に入りCOVID-19ウイルスの遺伝子変異によりインド発のデルタ株による感染爆発が本邦におきましても予想以上の短期間に猛威を振るい、第5波の全国的な感染蔓延を来し特に東京を起点として医療崩壊に近い状況を呈しております。 

 COVID-19は中国の武漢で2019年12月に発生し、瞬く間に全世界に蔓延しました。世界保健機関(WHO)は2020年3月11日に新型インフルエンザでいうパンデミックと評価し、日本国内で公衆衛生上の危機感が高まりました。原因に関しては、これまでに経験したことのない未知のメッセンジャーRNAコロナウィルスで、ヒト-ヒト感染を有する能力を持ち、感染者の約80%前後が未発症や軽症者で自然寛解するものの、残りの20%は重症化し5%の方は不幸な転帰をとるとされ、約2週間に1度の間隔で変異を繰り返しており、その際に感染性や病原性を獲得し、治療抵抗性の性格を持ちうる可能性があります。特徴としては人との接触や緊密状態を介して飛沫・接触感染しやすく、台湾の報告では症状の発症前後が最も多量のウイルスが検出され、感染から1週間を境にウイルス量は急減すると言われており、従来PCR検査を受ける基準は、発熱などの症状が表れてから1-2日経過してからとされてきた経緯があり、発症後1週間から10日経過し病状が悪化する恐れがなければ隔離する必要はないとされ、現行の退院基準となっております。

 しかし、最近では新規感染者の急増により医療機関で入院可能な確保病床数をはるかに上回っており、無症状や基礎疾患のない軽症者・中等症Ⅰの方々は自治体が運営する宿泊療養施設(ホテルが多い)や自宅療養を勧めており、時々刻々と感染状況に応じて各地域でのCOVID-19感染者に対する医療体制が変化してきております。また、自宅療養での待機患者の中に急変し不幸な転帰をとるケースが散見してきており、COVID-19新規感染者の急増している地域では看護体制の行き届いている宿泊療養施設や野戦病院の更なる拡充を望む声が日々増えてきているのが現状であります。

 次に、COVID-19ワクチン接種の効果に関しては、本邦におきまして欧米よりも遅れて令和3年2月より特定の医療機関の職員を対象に先行接種され、令和3年末までに12歳以上の方々の約8割を対象として計2回の接種を終了する予定ですが、当初の集団免疫の目標である全人口の7-8割のワクチン接種では獲得が疑問視されており、更なるブースター接種(3回目のワクチン接種を指す)が声高に世界中で述べられています。

 また、COVID-19の治療薬として抗体カクテル療法が脚光を浴びていますが、発症1週間以内の感染早期でかつ中等症Ⅰまでに限定されており、酸素の必要な中等症Ⅱ以上のケースではまだ有効な治療薬は研究段階であります。また、2回のワクチン接種完了者または抗体があれば、海外では社会活動を認める「出口戦略としての免疫パスポート」に使う動きもありましたが、「ブレークスルー感染:ワクチン2回接種後14日以降にCOVID-19感染を来すこと」の実態が判明し、WHOは抗体を持つ人が再感染から守られているという証拠はまだないと警鐘を鳴らしています。現実にはどの程度の抗体産生で免疫獲得が得られるのか、抗体産生による後天的免疫がいつまで継続するか等、まだCOVID-19の抗体については不明な部分が多く、検査結果の評価は難しいとされています。

 今回100年に1度とも言われるCOVID-19による本パンデミックの第1波が襲来して約1年半以上が経過し、まだ収束の兆しは見えておりません。今後も当分の間はCOVID-19の特徴を充分理解した上で「新しい日常」を形作っていくことが必要であり、日々の3密回避行動と手洗い・マスク着用を基本とした感染防止対策の常態化が強く望まれるものと考えます。 

 

 

 

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