現在の位置:ホーム 過去の健康コラム > 平成28年1月 乳がんにおける検診・治療の変遷

平成28年1月 乳がんにおける検診・治療の変遷

副院長兼外科部長 島多 勝夫

 乳がん患者死亡率の増加に相まって、国は平成18年、がん対策基本法を策定して検診率向上による死亡率低下を掲げました。近年は、それをより一層積極的に推し進めようとする機運がみられます。

 富山県は、いち早くマンモグラフィー併用検診を導入しました。平成25年度の検診受診率も40%前後と全国では比較的高い方ですが、死亡率低減効果を確実とするには、受診率を欧米諸国並みに50%以上まで引き上げることが不可欠です。市民の命を守るための手段として、個人のみならず地域や自治体が検診の持つ意義を再認識し、その位置付けを再考すべき時期にあると考えています。

 また最近では、日本乳がん検診学会主導の臨床試験の結果(J-START)が公表され、40歳代を対象とした超音波併用マンモグラフィー視触診の有効性が証明されたため、今後は、同年代における検診のあり方が見直される可能性があります。乳がん治療に関しては、ここ10年間、分子遺伝学や薬物療法の進歩により、術前化学療法による乳房温存率向上や、がんの個性に合った術後補助療法の確立(がん関連遺伝子やホルモン感受性を利用した治療法の設定)が図られ、治療の個別化へと方針が変遷しています。

 今後は検診の精度や受診率の向上を図り、がん患者さんには、がんに応じた科学的・効率的な治療スケジュールを提供し、乳がん死を少しでも減らしたいと考えています。

現在の位置:ホーム  > 過去の健康コラム  > 平成28年1月 乳がんにおける検診・治療の変遷