現在の位置:ホーム 過去の健康コラム > 平成27年6月 鼠径ヘルニア(脱腸)について

平成27年6月 鼠径ヘルニア(脱腸)について

外科医師 祐川 健太

 「鼠径(そけい)」部とは足の付け根の部分のことをいい、「ヘルニア」とは体の組織が正しい位置からはみ出した状態をいいます。「鼠径ヘルニア」は多くの場合、本来お腹の中にある腹膜や腸の一部が、鼠径部の筋膜の間から皮膚の下に出てくる病気で、一般的には「脱腸」と呼ばれています。子供の鼠径ヘルニアは先天的な原因がほとんどですが、成人に発症する鼠径ヘルニアは、加齢により身体の支持組織が弱くなることが原因です。

 年をとって筋肉が衰えてくると、筋膜が緩んでできた隙間や腹膜の弱いところから、腹膜が袋状に伸びて、その中に腸などお腹の中の組織が出るようになります。お腹に力のかかる製造業や立ち仕事に従事する方、便秘症、肥満、前立腺肥大のある方、咳をよくしたり妊婦や出産後の方などに多いといわれています。

 初期症状としては、柔らかい膨らみ、突っ張り感や引っ張られる感覚があるだけで、痛みを感じることはあまりありません。しかし、重い荷物を持ち上げたり、咳き込んだり、立ち上がったりしてお腹に力が入った時に、鼠径部にこぶのような柔らかい膨らみを感じ、横になったり手で押すと元に戻ってしまうようであれば、鼠径ヘルニアの黄信号です。程度が進むと、膨らみが硬くなったり、手で押さえても元に戻らなくなり、お腹に強い痛みや吐き気を感じるようになったら赤信号。膨らんだ部分が根元で締め付けられ、元に戻らなくなった状態を嵌頓(かんとん)といい、命にかかわることもあります。

 疾患部位が鼠径部であるため「恥ずかしい病気」のイメージがあり、受診をためらわれる方も多いのではないかと思います。赤信号になる前に当院の外科にご相談ください。

現在の位置:ホーム  > 過去の健康コラム  > 平成27年6月 鼠径ヘルニア(脱腸)について